📖 追放された聖女は隣国で公爵様と契約結婚して幸せになります
呪いの真実・新たな計画
レオンハルトの優しさに触れたリリアーナは、彼のためにもっと自分ができることをしたいと強く願っていた。彼の呪いの根源を探るため、先代公爵の遺品を調査することを提案する。
「レオンハルト様、先代公爵様の私室を調べさせていただけませんか?」
リリアーナは朝食の席で、思い切って切り出した。レオンハルトは手にしていたフォークを置き、鋭い目で彼女を見つめる。
「なぜだ?」
「呪いの手がかりがあるかもしれないと思いました。先代公爵様が何か遺されているのなら、きっとそこに」
レオンハルトはしばらく沈黙し、やがて小さくため息をついた。
「……分かった。だが、書庫の資料はすべて目を通した。何も見つからなかったぞ」
「それでも、私室には書庫にないものが眠っているかもしれません。直接見せていただけませんか?」
リリアーナは真剣な眼差しで訴える。レオンハルトは少し迷った後、渋々ながら頷いた。
「いいだろう。ただし、俺も一緒に行く。一人で勝手に動くなよ」
「ありがとうございます」
こうして、二人は公爵邸の奥にある先代公爵の私室へ向かうことになった。
先代公爵の私室は、公爵邸の東翼の奥にあった。重厚な扉には複雑な紋章が刻まれ、近づくだけでひんやりとした空気が漂う。リリアーナが手を伸ばすと、突然、目に見えない壁に阻まれた。
「これは……結界?」
リリアーナは驚いて手を引っ込める。レオンハルトも眉をひそめた。
「こんなものは前はなかった。父が仕掛けたのか?」
彼は自ら扉に触れようとするが、リリアーナが制する。
「待ってください! 触れると危険かもしれません」
「だが、このままでは入れない」
リリアーナは結界を注意深く観察した。微弱な光が紋章から放たれており、何かの仕掛けがあるようだ。
「この結界は、特定の条件を満たさないと解けないみたいです。もしかしたら、何か鍵が必要なのかも」
「鍵? そんなもの見たことがない」
レオンハルトは腕を組み、考え込む。リリアーナは周囲を見回し、書庫のことを思い出した。
「書庫に、先代公爵様の日記や手記がありませんでしたか? そこに何か手がかりがあるかもしれません」
「ああ、確か書庫の奥に、父の遺品を納めた棚があったな。だが、すでに調べたはずだ」
「もう一度、詳しく調べてみましょう。何か見落としているかもしれません」
二人は書庫へ戻り、先代公爵の遺品が納められた棚を探し始めた。リリアーナは一冊ずつ丁寧に本を手に取り、ページをめくる。すると、一冊の古い日記の表紙に、微かな違和感を覚えた。
「この日記、表紙が二重になっています」
リリアーナが指でなぞると、薄い紙が剥がれ、中から一枚の羊皮紙が落ちてきた。そこには、見慣れない文字で何かが記されていた。
「これは……古代語? 読めますか?」
レオンハルトは羊皮紙を受け取り、目を細める。
「……これは、結界を解く方法が書かれている。『聖女の血と聖遺物が必要』だと」
「聖遺物?」
「ああ。どうやら、父は何かを守るためにこの結界を張ったらしい。そして、それを解くには聖女の力と、ある聖遺物が必要なんだ」
リリアーナはその言葉に、心臓が高鳴るのを感じた。
「その聖遺物は、どこにあるんですか?」
レオンハルトは羊皮紙を裏返し、さらに読み進める。
「……ここに、『故郷の教会に眠る』と書かれている」
「故郷の教会……私が育った教会ですか?」
リリアーナは息を呑んだ。彼女の故郷は、遠い田舎町にある。そこに聖遺物があるということは、彼女が再びあの場所へ行かなければならないことを意味していた。
リリアーナは羊皮紙をじっと見つめ、決意を固めた。
「レオンハルト様、私、故郷へ戻って聖遺物を探してきます」
レオンハルトは驚いた顔をした。
「一人で行くつもりか? 危険だぞ」
「でも、この結界を解くには聖遺物が必要なんですよね? 私が行くのが一番です」
「お前の故郷は、教会の支配下にあるんだろう? もし見つかれば、捕まるかもしれない」
レオンハルトは反対するが、リリアーナは首を振った。
「それでも、あなたの呪いを解くためです。私はもう逃げません」
彼女の強い意志を感じ、レオンハルトは深く息を吐いた。
「……分かった。だが、一人では行かせない。俺も同行する」
「え? でも、公爵様がお立場が……」
「構わない。お前を危険にさらすわけにはいかない」
リリアーナはその言葉に、胸が熱くなった。彼はいつも冷たい態度を取るが、こうして自分のことを心配してくれている。
「ありがとうございます。でも、本当に大丈夫ですか?」
「ああ。それに、この結界を解くには、俺の存在も必要なのかもしれない。父が何を隠しているのか、知りたい」
レオンハルトの目は、強い決意に満ちていた。リリアーナは彼の横顔を見つめ、改めてこの人を救いたいと思った。
「では、明日出発しましょう。準備を整えます」
「ああ。だが、くれぐれも無理はするなよ」
レオンハルトはそう言って、リリアーナの頭を優しく撫でた。その手の温かさに、リリアーナは目を閉じる。
「はい。約束します」
二人は書庫を後にし、それぞれの部屋へ戻った。リリアーナは荷物をまとめながら、故郷のことを思い出す。あの教会には、辛い記憶しかない。だが、今はそれと向き合う時だ。
翌朝、二人は馬車に乗り込み、リリアーナの故郷へ向けて出発した。
馬車が進むにつれ、リリアーナの故郷が近づいてくる。彼女は窓の外の風景を見つめながら、ふとあることを思い出した。
「そういえば、聖遺物について、もう少し詳しいことが書いてあったはず……」
彼女は羊皮紙を広げ、再び目を通す。すると、最後の行に、小さくこう記されていた。
リリアーナが文献を指さし、レオンハルトに聖遺物のことを説明する。






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