📖 追放された聖女は隣国で公爵様と契約結婚して幸せになります
追放と契約・運命の転機
逮捕状の報を受けた二人は、追手が来る前に急いで公爵邸を後にする。夜明け前の暗い中、馬車は街道を西へと走る。リリアーナは窓の外を眺めながら、昨夜の襲撃とレオンハルトの呪いの進行を思い返していた。
「公爵様、本当に大丈夫ですか?無理をなさらないでください」
隣で剣を抱えるレオンハルトは、微かに口元を緩めた。
「心配するな。お前を守るまでは、倒れるわけにはいかない」
その言葉に、リリアーナの胸は熱くなるが、同時に彼の顔色の悪さが気にかかる。彼の手は微かに震えており、呪いの進行が止まらないことを物語っていた。
「試練の地まであと半日です。そこで必ず力を取り戻します」
リリアーナは護符を握りしめ、決意を新たにした。
試練の地の入口に着くと、そこには古びた石門が立ち、周囲には結界が張り巡らされていた。リリアーナは地図と護符を確認し、レオンハルトに向き直った。
「ここから先は、聖女の力を持つ者しか入れません。公爵様はここでお待ちください」
レオンハルトは眉をひそめ、反論した。
「一人で行かせるわけにはいかない。俺も同行する」
「ですが、結界があなたを拒むはずです。試練は聖女の力が試される場所。あなたが入れば、呪いがさらに進行するかもしれません」
リリアーナは必死に説得するが、レオンハルトは頑として譲らない。彼は一歩前に進み、石門に手を触れようとした。瞬間、結界が光を放ち、彼の手を弾いた。
「ぐっ……!」
レオンハルトは後ずさりし、苦痛に顔を歪めた。リリアーナは慌てて彼を支える。
「だから言ったじゃないですか!無理をしないでください」
「……だが、お前を一人で行かせるわけにはいかない」
レオンハルトは唇を噛みしめ、悔しさを滲ませた。リリアーナは彼の手を握り、真剣な眼差しで言った。
「必ず戻ります。約束します。ですから、ここで待っていてください」
彼はしばらく沈黙した後、ゆっくりと頷いた。
「……分かった。だが、もし何かあれば、すぐに呼べ。俺はここで待っている」
リリアーナは頷き、石門をくぐった。中は薄暗く、空気が張り詰めていた。彼女は護符を掲げ、試練の開始を告げる。
「我、聖女リリアーナ、ここに試練を受けん」
瞬間、周囲の空間が歪み、無数の光が彼女を包み込んだ。リリアーナは目を閉じ、内なる力と向き合う。しかし、封印された力は容易に解放されない。彼女は過去の記憶を思い出す。教会に引き取られ、利用される日々。セシリアの嫉妬と陰謀。そして、レオンハルトの優しさと呪い。
「私は……もう逃げない」
リリアーナは心の中で強く念じた。すると、胸の奥で何かが弾ける感覚がした。温かい光が全身を巡り、彼女の手から浄化の力が溢れ出る。
「これが……私の力」
彼女は目を開け、試練の核心へと進んだ。
試練を乗り越えたリリアーナは、石門の外で待つレオンハルトの元へ戻った。彼は心配そうな表情で駆け寄る。
「無事か?」
「はい。力の一部を取り戻せました」
リリアーナは微笑み、手をかざすと、淡い光がレオンハルトの体を包み込んだ。彼の呪いの進行が一時的に抑えられ、苦しそうな表情が和らぐ。
「……力が戻ったのか」
「ええ。まだ完全ではありませんが、あなたの呪いを抑えることはできます」
レオンハルトは驚きと安堵の混じった表情で彼女を見つめた。リリアーナはその視線に、心臓が高鳴るのを感じた。
「ありがとう、リリアーナ」
彼が初めて彼女の名を呼んだ。その声は優しく、リリアーナの胸に深く響いた。
「公爵様……いえ、レオンハルト様」
彼女がそう呼ぶと、レオンハルトは微かに笑みを浮かべた。二人の間に、今までにない温かな空気が流れる。
「さあ、戻ろう。教会が黙ってはいないだろう」
「はい。でも、もう怖くありません。あなたがそばにいてくれるなら」
リリアーナはそう言い、彼の手を握った。レオンハルトもその手を握り返し、二人は馬車へと向かった。
馬車が公爵邸へ戻る途中、リリアーナはふと違和感を覚えた。街道の先に、複数の馬の影が見える。彼らは明らかにこちらを狙っているようだった。
セシリアが教会の権力を使ってリリアーナを暗殺しようと企む






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