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📖 捨てられた聖女は冷徹公爵の契約婚約者となり、偽りの恋で王国を救う

辺境の試練・公然の挑戦

2.0K words

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設計図の隅に記された古代文字を解読したリリアは、その意味に息を呑んだ。そこには、聖女の力が辺境の古代遺跡に封印されているという記述があった。ユリウスもその文字を覗き込み、眉をひそめる。 「これは……まさか、君の力が?」 リリアは頷いた。設計図には、遺跡の場所と封印の手順が詳細に記されている。彼女の失われた力が、この遺跡に眠っているのだ。 「公爵様、この遺跡に行けば、私は再び力を取り戻せるかもしれません」 ユリウスはしばらく沈黙した後、静かに口を開いた。 「危険だ。この設計図を手に入れた者たちが、何を狙っているか分からない。罠の可能性もある」 リリアは唇を噛んだ。彼の言うことはもっともだ。だが、この機会を逃せば、二度と力は戻らないかもしれない。 「それでも、行く価値はあります。私の力が戻れば、魔物を無効化する方法も完成させられる」 ユリウスは彼女の決意を感じ取り、深く息を吐いた。 「分かった。だが、準備は万全にしよう。まずは村で情報を集める」 二人は遺跡への探索を計画するため、近くの村へ向かうことにした。 村に到着すると、異様な雰囲気が漂っていた。村人たちがリリアを見る目が冷たく、ひそひそと噂話をしている。 「あの女が聖女だって? 嘘だろう」 「魔物を呼び寄せているって聞いたぞ」 リリアは耳を疑った。自分が魔物を呼び寄せている? そんなはずはない。 ユリウスが前に出て、村人たちに問いかけた。 「何か問題があるのか?」 すると、一人の男が声を上げた。 「公爵様、その女は危険です。この村に魔物が現れたのは、あの女が来てからだ!」 リリアは反論しようとしたが、ユリウスが手で制した。 「それは誤解だ。リリア様は聖女であり、魔物を退治するために来たのだ」 しかし、村人たちは納得しない。 「聖女なら、なぜ魔物が現れるんだ?」 「偽物に違いない!」 その時、リリアはふと違和感を覚えた。村人たちの中に、一人だけ妙に落ち着いている男がいる。彼は周りの興奮をよそに、冷めた目でリリアを見ていた。 リリアは直感した。この男が、偽情報を流している協力者かもしれない。 彼女はユリウスに小声で伝えた。 「公爵様、あの男が怪しいです」 ユリウスは微かに頷き、男を注視した。 リリアは村人たちに向き直り、声を張り上げた。 「皆さん、聞いてください。私は確かに聖女です。ですが、今は力を失っています。それでも、魔物を退治するためにここに来ました」 村人たちはざわめいたが、リリアは続けた。 「疑うなら、私の実力を見せましょう」 彼女は持っていた杖を掲げ、古代魔法の知識を使って簡易の結界を張った。光が村人たちを包み、温かな感覚が広がる。 「これは聖女の力の一端です。私が魔物を呼び寄せるはずがないと分かっていただけるはず」 しかし、その時、先ほどの男が叫んだ。 「そんなものは偽物だ! 本物の聖女は、もっと強力な力を持っている!」 村人たちが再び騒ぎ始めた。男はさらに煽る。 「この女は魔女だ! 捕まえろ!」 リリアは男を睨みつけた。彼の言葉は、まさにセシリアの陰謀を思わせる。 「あなた、誰ですか? なぜ私を陥れようとするのです?」 男は一瞬たじろいだが、すぐに笑みを浮かべた。 「私は真実を伝えているだけだ」 ユリウスが剣を抜き、男に向けた。 「その言葉、撤回しろ。リリア様は私の婚約者だ。侮辱は許さない」 男は後退したが、村人たちが壁となって立ちはだかった。 「公爵様、お引き取りください。我々は魔女を排除したいだけだ」 ユリウスはリリアを守るように前に立ち、低い声で言った。 「ならば、力づくでも構わない」 リリアはユリウスの背中を見つめ、決意を固めた。彼女は男を指差し、叫んだ。 「あなた、証拠を見せなさい! 私が魔物を呼び寄せたという証拠を!」 男は口ごもったが、すぐに反論した。 「この村に魔物が現れたのが証拠だ!」 「それは偶然かもしれません。ですが、私は魔物を退治してきた実績があります。村の外れに魔物の死骸があるはずです。確認してみてください」 村人たちは半信半疑ながらも、数人が確認に向かった。しばらくして、彼らは戻ってきて、確かに魔物の死骸があったと報告した。 「だが、それがお前の仕業とは限らない」 男はなおも食い下がる。リリアは冷静に言い返した。 「では、私が魔物を呼び寄せたという証拠を見せてください。あなたが持っているはずです」 男は言葉に詰まった。その隙に、ユリウスが素早く男に近づき、腕を掴んだ。 「お前の正体を明かせ」 男は抵抗したが、ユリウスの力には敵わない。ユリウスは男の懐を探り、一枚の手紙を取り出した。 「これは……セシリア様の紋章が入っている」 リリアは驚いた。セシリアが、こんな辺境の村にまで手を伸ばしていたのか。 村人たちも手紙を見て、男が偽情報を流していたことを悟った。 「すまない、聖女様。我々は騙されていた」 村人たちは謝罪し、リリアへの誤解を解いた。リリアは微笑み、許した。 「いいえ、無理もありません。私こそ、誤解を招くような行動をしてしまいました」 ユリウスは男を拘束し、尋問を始めた。男は最初は黙っていたが、ユリウスの鋭い眼光に耐えかねて、口を割った。 「……セシリア様は、リリア様を魔女裁判にかける準備をしている。王都でな」 リリアは息を呑んだ。魔女裁判? そんなことが許されるのか? ユリウスは男をさらに問い詰めた。 「いつだ?」 「三週間後……王都の広場で」 リリアはユリウスを見上げた。彼の目は冷静だったが、その奥に怒りが燃えているのを感じた。 「公爵様、どうすれば……」 ユリウスはリリアの肩に手を置き、力強く言った。 「大丈夫だ。私が守る」 その言葉に、リリアの心臓が高鳴った。彼の存在が、こんなにも心強いものだとは。 「ありがとうございます、公爵様」 リリアは微笑み、ユリウスも微かに口元を緩めた。二人の間には、確かな信頼が生まれていた。 ユリウスがリリアを擁護し、協力者を捕らえるために共闘したことで、村人たちの誤解は解け、リリアへの信頼が回復した。村人たちは口々に謝罪し、リリアを聖女として認めた。 「聖女様、お許しください。我々は愚かでした」 リリアは首を振った。 「いいえ、皆さんを騙した者が悪いのです。私こそ、もっと早く説明すべきでした」 ユリウスは捕らえた男を村の役人に引き渡し、リリアのそばに戻った。 「よくやった」 リリアはその言葉に顔を赤らめた。彼に褒められるのが、こんなに嬉しいとは。 「公爵様のおかげです。一人では、村人たちを説得できなかったでしょう」 ユリウスはリリアを見つめ、穏やかな声で言った。 「君は十分にやった。私がいたのは、君が信頼に足る人物だと証明するためだ」 リリアはその言葉に、胸が温かくなるのを感じた。彼は自分の力を信じてくれている。 「公爵様、これからどうしますか? 魔女裁判を阻止しなければなりません」 ユリウスは腕を組み、考え込んだ。 「まずは、この男の証言を証拠として確保する。そして、王都に戻り、セシリアの陰謀を暴く」 リリアは頷いた。だが、その前に、彼女にはやるべきことがある。 「公爵様、私は遺跡に行きたいです。力を取り戻せば、魔女裁判でも有利に戦えます」 ユリウスは少し迷ったが、リリアの決意を尊重した。 「分かった。だが、私も同行する。危険を一人で冒させるわけにはいかない」 リリアは微笑んだ。彼がそばにいてくれるなら、どんな困難も乗り越えられる気がした。 「ありがとうございます、公爵様」 二人は村を出発する準備を始めた。村人たちは感謝の気持ちを込めて、食料や情報を提供してくれた。 「聖女様、お気をつけて」 「公爵様、どうか聖女様をお守りください」 リリアは村人たちに見送られながら、ユリウスと共に村を後にした。彼女の心には、新たな決意が芽生えていた。 「セシリア、あなたの陰謀は必ず暴いてみせる」 リリアは強く拳を握りしめた。 村を出発する前に、リリアは捕らえた協力者から得た情報を整理していた。セシリアが魔女裁判を準備しているという事実は重くのしかかる。だが、それ以上に気になるのは、彼女がなぜそこまでして自分を貶めようとするのかという疑問だった。 捕らえた協力者から、セシリアが王都でリリアを魔女裁判にかける準備をしているという情報を聞き出す。
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