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📖 捨てられた聖女は冷徹公爵の契約婚約者となり、偽りの恋で王国を救う

追放と契約・逆転

1.6K words

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「真実の愛……?」 私は文献の一文を指さしながら、思わず声を漏らした。ユリウスもその文字を凝視し、眉をひそめる。 「封印を解くには、真実の愛の力が必要だと書かれている。だが、それが具体的に何を指すのかは、この文献だけでは判断できないな」 彼の冷静な分析に、私は内心焦りを感じた。家族の救出は待ったなしだというのに、肝心の封印解除の条件が曖昧なままだ。 「他に手がかりはないのでしょうか? この文献の著者や、関連する記述がどこかに……」 私はページをめくりながら、必死に手がかりを探した。しかし、その後の記述は損傷が激しく、判読できない部分が多かった。 「リリア、焦るな。まずは家族の安全を確保することが先決だ。封印のことは、その後でじっくり調べよう」 ユリウスが優しく諭すように言った。その言葉に、私ははっと我に返る。そうだ、今は家族を救うことが最優先だ。 「……はい。おっしゃる通りです」 私は文献を閉じ、気持ちを切り替えた。だが、頭の片隅には「真実の愛」という言葉が引っかかって離れなかった。 「では、作戦の最終確認を続けましょう。家族の避難経路は確保できていますか?」 ユリウスが地図を広げ、再び作戦の詳細を詰め始めた。私もそれに加わり、細部を確認していく。 その時、部屋の扉がノックされ、騎士が慌てた様子で飛び込んできた。 「公爵様! 大変です! クローフォード辺境伯ご一家が、何者かに拉致されました!」 「なに?!」 ユリウスが立ち上がり、騎士に詰め寄る。私も血の気が引くのを感じた。 「いつ、どこで?」 「先ほど、領地からの早馬が報せてきました。犯人の身元は不明ですが、現場にはこの手紙が残されていたそうです」 騎士は一通の封筒を差し出した。ユリウスがそれを受け取り、封を切る。中から出てきた便箋には、見覚えのある筆跡でこう書かれていた。 「リリア・クローフォードへ。家族を取り戻したければ、単独で私の元へ来い。場所は、明日の夜明けに知らせる。もし公爵に知らせたり、軍を動かしたりすれば、家族の命はないと思え」 差出人の名前はない。だが、私はすぐにそれが誰かを悟った。 「セシリア……!」 あの女が、私の家族を人質に取ったのだ。 「リリア、落ち着け。これは罠だ。単独で行けば、君も捕まる」 ユリウスが私の肩を掴み、冷静さを取り戻させようとする。しかし、私は頭が真っ白になり、彼の言葉が耳に入らなかった。 「でも、家族が……!」 「だからこそ、冷静になれ。ここで感情的になれば、セシリアの思う壺だ」 ユリウスの鋭い声に、私ははっと我に返った。彼の言う通りだ。私は深呼吸をし、必死に思考を巡らせる。 「……そうですね。すみません、動揺してしまいました」 「謝る必要はない。それよりも、どうするかだ」 ユリウスは地図を睨みつけながら、作戦を練り直そうとする。しかし、私はある決意を固めていた。 「公爵様、私が単独でセシリアに会いに行きます」 「何? それは危険すぎる。却下だ」 「ですが、家族の命がかかっているんです。それに、セシリアは私に用があるはずです。私が行けば、家族を解放してくれるかもしれません」 私は必死に訴えた。しかし、ユリウスは首を縦に振らない。 「もし君が捕まれば、それこそセシリアの思う壺だ。君を人質に、さらに要求されるぞ」 「それでも、行かせてください。私はもう、誰かに守られるだけの弱い女ではありません」 私は強い意志を込めて言い放った。ユリウスはしばらく私の目を見つめていたが、やがて深くため息をついた。 「……分かった。だが、絶対に無茶はするな。もしもの時は、この護符を使え。私の魔法が込めてある」 彼は首から外した銀の護符を私に握らせた。その温もりに、私は少しだけ心強さを感じた。 「ありがとうございます。必ず、戻ってきます」 私は護符を握りしめ、部屋を出ようとした。しかし、その時、ユリウスが私の腕を掴んだ。 「待て。もう一つだけ、約束してくれ」 「何ですか?」 「決して、一人で全てを背負い込むな。もし危険を感じたら、すぐに知らせろ。私が必ず助けに行く」 彼の真剣な眼差しに、私は心臓が高鳴るのを感じた。この人は、本当に私を心配してくれているのだ。 「……はい。約束します」 私はそう答えると、彼の手をそっと離し、部屋を後にした。 私は自室に戻り、セシリアからの手紙を読み返した。そこには、指定された場所と時刻が記されていた。場所は、領地の外れにある廃教会。時刻は、明日の夜明け。 「家族を救うためには、行くしかない」 私は決意を固め、旅支度を始めた。しかし、その時、ふとユリウスの言葉が頭をよぎる。 「決して、一人で全てを背負い込むな」 彼の言葉に、私は手を止めた。本当に、一人で行くべきなのだろうか? もしセシリアの罠だったら? 家族を救えるだろうか? 不安が押し寄せる。しかし、私は首を振ってその考えを振り払った。 「いや、私はもう一人じゃない。ユリウスがいる」 私は護符を握りしめ、彼の存在を感じた。彼は私を信じて送り出してくれた。私はその信頼に応えなければ。 「よし、行こう」 私は荷物をまとめ、部屋を出ようとした。しかし、その時、扉の向こうに立つ影に気づいた。 「……公爵様?」 扉を開けると、そこにはユリウスが立っていた。彼は複雑な表情で私を見つめている。 「やはり、一人で行くつもりか」 「……はい。あなた様に迷惑はかけられません」 「迷惑だと? 君は私の契約婚約者だ。君の家族は、私の家族も同然だ」 彼はそう言うと、私の手を強く握った。 「リリア、私は君を失いたくない。もし君が何かあったら、私は後悔してもしきれない」 その言葉に、私は胸が締め付けられた。彼は本気で私を心配してくれている。 「でも、私は……」 「分かっている。君が家族を救いたい気持ちは痛いほど分かる。だが、一人で行かせるわけにはいかない」 ユリウスは私の目をまっすぐに見つめ、こう言った。 「君を失うくらいなら、全てを捨てて共に戦う」 その瞬間、私の心に温かいものが広がった。この人は、私のためにここまで言ってくれるのか。 「……ありがとうございます」 私は涙をこらえながら、彼に微笑んだ。すると、ユリウスも優しく微笑み返してくれた。 「さあ、行こう。二人でなら、きっと乗り越えられる」 彼はそう言って、私の手を引いた。私はその手に力を込め、彼と共に歩き出した。 私たちは廃教会へ向かうため、馬車に乗り込んだ。ユリウスは護衛を連れて行こうとしたが、私はそれを断った。 「セシリアは私が単独で来ることを条件にしています。護衛がいたら、家族の命が危険にさらされます」 「だが、無防備で行くのは……」 「大丈夫です。あなた様がくれた護符がありますから」 私は護符を握りしめ、微笑んだ。ユリウスはまだ不安そうだったが、私の決意を汲み取ってくれた。 「……分かった。だが、約束してくれ。絶対に無事に戻ってくること」 「はい。必ず」 馬車が夜道を進む中、私はユリウスの隣に座り、彼の温もりを感じていた。この瞬間、私は彼を信じてもいいのだと思えた。 やがて、廃教会の影が見えてきた。 公爵がリリアの計画を察知し、彼女を引き止め、「君を失うくらいなら、全てを捨てて共に戦う」と宣言する。
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