📖 捨てられた聖女は冷徹公爵の契約婚約者となり、偽りの恋で王国を救う
追放と契約・新たな計画
昨夜のペンダントのことが頭から離れない。リリアは公爵の胸元に光るそれを見て、確信した。あれは母の形見。なぜ公爵が持っているのか。問い詰めたい衝動を抑え、彼女はまず契約の話を進めることにした。公爵は書斎で書類を広げ、冷たい視線を向ける。
「契約の条件を詰めたい。君の知識が本当に役立つのか、証明してもらおう」
リリアは一歩前に出た。失った力の代わりに、彼女には古代魔法の知識がある。それを武器に、公爵と対等に渡り合うつもりだ。
「ええ、そのつもりです。ですが、その前に一つ確認させてください。あなたはなぜ、私のペンダントを持っているのですか?」
公爵の眉が微かに動いた。しかし、彼は答えを避けるように話題を戻す。
「それは今関係ない。契約の話だ」
リリアは唇を噛んだ。だが、無理に問い詰めても埒が明かない。彼が何かを隠しているなら、こちらも探りを入れるしかない。
「わかりました。では、私の知識がお役に立てるか、証明しましょう」
リリアは公爵の冷徹な態度に屈せず、古代魔法の知識が王国の内乱を解決する鍵となると説得を試みた。彼女は机の上に広げられた地図を指さす。
「この国境付近の魔物の出現パターン、見覚えがあります。これは古代の結界が弱まっている証拠です。私の研究によれば、結界を修復するには特定の儀式と魔力の流れを整える必要があります」
公爵は腕を組み、鋭い目で彼女を見つめた。
「だが、君は聖女の力を失った。儀式を行うには魔力が必要だろう」
「確かに、私の魔力は失われました。しかし、古代魔法の知識は失われていません。結界の修復には、魔力そのものよりも、正しい手順と知識が重要です。それに、辺境の領地経営と研究への協力を提案します。私の知識を活用すれば、この領地の防衛力を高めることができます」
公爵はしばらく沈黙した。彼の指が机を軽く叩く。
「面白い提案だ。だが、君はまだ聖女の力に未練があるのではないか?それが障害になる」
リリアは一瞬、言葉に詰まった。確かに、彼女の心の奥底には、奪われた力への執着があった。しかし、公爵の指摘は的を射ている。彼女は深く息を吸い、覚悟を決めた。
「確かに、私は力を失ったことを悔やんでいました。しかし、それに囚われていては何も始まりません。私は過去を捨て、新たな力で生きる決意をしました。その覚悟を示すためにも、この契約を結びたいのです」
公爵は彼女の目をじっと見つめ、何かを探るように観察した。そして、ゆっくりと口を開いた。
「わかった。君の提案を受け入れよう。ただし、条件がある。私の指示に従い、この領地の防衛に協力すること。そして、聖女の力に固執しないこと。それが守れるなら、契約を結ぼう」
リリアは頷いた。
「承知しました」
公爵は机の引き出しから羊皮紙を取り出し、契約書を広げた。リリアはその内容を確認し、署名するためにペンを手に取った。
リリアは公爵の警告を受け入れ、過去を捨てて新たな力で生きる決意を固めた。彼女は契約書に署名する。
「これで、私たちは契約婚約者ですね」
公爵は頷いた。
「ああ。だが、これはあくまで契約だ。互いの利益のためのものだ」
「ええ、わかっています」
リリアはそう言いながらも、公爵の胸元に視線を向けた。ペンダントのことが気になるが、今は問い詰める時ではない。彼との信頼関係を築くことが先決だ。
「これからよろしくお願いします、公爵様」
「こちらこそ」
公爵はそう言うと、わずかに口元を緩めた。それは、彼の冷徹なイメージからは想像できない、ほんのわずかな笑みだった。リリアはその表情に、少しだけ心が動かされた。
「では、今後の方針を話し合いましょう。まずは、この領地の現状を把握する必要があります」
リリアは地図を広げ、公爵と今後の計画について話し始めた。彼女の知識が、少しずつ公爵の信頼を得ていくのを感じた。
「君の知識は確かに役立ちそうだ」
公爵の言葉に、リリアは内心ほっとした。彼との間に、ようやく信頼の第一歩が築けた気がした。
契約が成立し、リリアが安堵の息をついたその時、城の外で大きな轟音が響いた。窓の外を見ると、黒い影が空を覆っている。魔物の襲撃だ。リリアは公爵とともに外へ飛び出した。
契約成立の瞬間、古城に謎の魔物の襲撃があり、リリアは知識を活かして応戦するが、魔力不足で窮地に陥る






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