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📖 捨てられた聖女は冷徹公爵の契約婚約者となり、偽りの恋で王国を救う

追放と契約・反撃

1.6K words

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馬車が夜道を進む中、私はユリウスの隣で、彼の温もりを感じていた。彼の「君を失うくらいなら、全てを捨てて共に戦う」という言葉が、心に深く響いている。この人なら、信じられる。そう思えた瞬間、私は彼に全てを委ねる決意を固めた。 「公爵様、本当にありがとうございます」 私は彼の手を握り、感謝の気持ちを伝えた。彼は優しく微笑み、私の手を握り返してくれた。 「リリア、君は一人じゃない。これからは、二人で戦おう」 その言葉に、私は強く頷いた。だが、私たちの前に立ちはだかるのは、セシリアの巧妙な罠だ。彼女は私が単独で来ることを条件に、家族の安全を約束している。しかし、ユリウスが共に来ることで、その条件が崩れる危険がある。 「公爵様、もしセシリアがあなた様の存在を知ったら、家族が危険に晒されるかもしれません」 私は不安を口にした。しかし、ユリウスは私の不安を払拭するように、力強く言った。 「心配するな。私には策がある。セシリアに気取られずに、君を守る方法を考えてある」 彼はそう言って、馬車の隅に置かれた鞄から、古びた書物を取り出した。それは、古代魔法に関する文献だった。 「この中に、変装魔法の記述がある。これを使えば、私たちの姿を偽装し、セシリアの目を欺けるかもしれない」 私はその書物を手に取り、ページをめくった。そこには、確かに変装魔法の理論が記されていた。しかし、それは高度な魔法であり、成功させるには相当な魔力と集中力が必要だった。 「私に使えるでしょうか?」 私は不安を感じながら尋ねた。ユリウスは私の目をまっすぐ見つめ、こう言った。 「君ならできる。君は聖女だったのだろう? 古代魔法の知識もある。信じている」 その言葉に、私は勇気づけられた。私は書物を読み込み、変装魔法の理論を頭に叩き込んだ。そして、馬車が廃教会に近づくにつれ、私はその魔法を行使する準備を始めた。 廃教会の影が近づく中、私はユリウスと共に馬車を降りた。私たちは茂みに身を隠し、教会の様子を伺った。教会の周囲には、セシリアの配下と思われる者たちが数人、見張りに立っている。 「やはり、警戒が厳重だな」 ユリウスが低い声で言った。私は頷き、変装魔法を行使するための準備を始めた。私は深く息を吸い込み、集中力を高める。そして、古代魔法の詠唱を唱え始めた。 「光よ、影よ、我が姿を偽れ……」 私の体が淡い光に包まれ、やがてその光が消えると、私は見張りの兵士の一人と同じ姿になっていた。ユリウスも同様に変装し、別の兵士の姿を取った。 「成功したようだな」 ユリウスが安堵の声を漏らした。しかし、私は変装魔法の副作用を感じていた。体が重く、魔力が急速に消耗している。この変装を維持するには、相当な体力を要する。 「大丈夫か? 顔色が悪いぞ」 ユリウスが心配そうに私の顔を覗き込んだ。私は無理に微笑み、こう答えた。 「大丈夫です。早く進みましょう」 私たちは変装した姿のまま、教会の裏口へと向かった。見張りの兵士たちは、私たちを仲間だと思っているのか、特に警戒することなく通り過ぎた。私たちは無事に教会の中へと潜入することに成功した。 教会の中は薄暗く、古い木の床が軋む音が響く。私たちは足音を殺して、奥へと進んだ。すると、奥の部屋から、かすかに声が聞こえてきた。 「……これで、リリアも終わりだな」 それは、セシリアの声だった。私は物陰に身を潜め、声のする方へと目を向けた。すると、セシリアが机の上に置かれた魔道具を手に取り、何やら呪文を唱えているのが見えた。 「聖女の力を模した魔道具……まさか、あれで私の力を偽装していたのか」 私は驚きを隠せなかった。セシリアはその魔道具を使って、聖女の力を偽装し、周囲を欺いていたのだ。私はその証拠を掴むため、さらに近づこうとした。しかし、その時、変装魔法の効果が切れかかっていることに気づいた。 「まずい……魔力が持たない」 私はユリウスに小声で伝えた。彼は私の腕を支え、物陰に引き寄せた。 「無理をするな。ここで休め」 しかし、私は首を振った。 「いえ、今がチャンスです。あの魔道具を奪えば、証拠になります」 私は再び集中し、変装魔法を維持しようとした。しかし、体は限界を訴えていた。視界が揺らぎ、立っているのもやっとだった。 「リリア、もう十分だ。作戦を変更する」 ユリウスが私を制した。しかし、私は彼の言葉を無視して、セシリアのいる部屋へと足を踏み出そうとした。 その時、ユリウスが私の手を強く引いた。私は彼の腕の中に倒れ込むようにして、彼に支えられた。 「無茶をするな!」 彼の声は、怒りと心配が入り混じっていた。私は彼の胸に顔を埋めたまま、震える声で言った。 「でも、この機会を逃したら、家族を救えなくなるかもしれない」 「それでも、君を危険に晒すわけにはいかない」 ユリウスは私を強く抱きしめ、こう言った。 「リリア、君はもう一人じゃない。私がいる。必ず家族を救う方法を一緒に考えよう」 その言葉に、私は涙が溢れ出した。彼の温もりが、私の心を溶かしていく。私は彼の胸に顔を埋めたまま、しばらくその場に留まった。 「……すみません、取り乱しました」 私は顔を上げ、彼の目を見つめた。彼は優しく微笑み、私の頬に手を添えた。 「謝ることはない。君が必死なのは分かっている。だが、無理をして倒れたら、元も子もないだろう」 私は彼の言葉に頷き、深呼吸をして気持ちを落ち着けた。そして、再びセシリアのいる部屋へと目を向けた。すると、セシリアが魔道具を掲げ、怪しげな光を放っているのが見えた。 「あれが証拠だ」 私はユリウスに囁いた。彼も頷き、私たちは物陰からセシリアの様子を観察することにした。セシリアは魔道具を手に、何やら呪文を唱えている。その光は、まるで聖女の力のように神々しく輝いていた。 「あれで、皆を騙しているんだ」 私は唇を噛みしめた。ユリウスは私の肩に手を置き、こう言った。 「あの魔道具を奪えば、セシリアの不正を暴ける。だが、無理に奪おうとせず、まずは状況を把握しよう」 私は彼の提案に従い、セシリアの動きを注意深く観察した。彼女は魔道具を机の上に置き、何やら書類を確認している。その隙に、私たちはさらに近づくことができた。 「もう少しで、証拠を掴める」 私は緊張しながらも、希望を感じていた。ユリウスと共に、この危機を乗り越えられる。そう思えた瞬間、私は彼への信頼がさらに深まった。 セシリアが魔道具を掲げ、その光が部屋を照らす。私は物陰から、その光景を凝視する。 リリアは物陰から、セシリアが怪しげな光を放つ魔道具を掲げる姿を凝視する。
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