📖 捨てられた聖女は冷徹公爵の契約婚約者となり、偽りの恋で王国を救う
辺境の試練・代償
使者がもたらした知らせは、辺境の村々が魔物の大群に襲われているというものだった。リリアは公爵の出征を見送った直後、その報告を受けて、聖女の力で村を守るため、すぐに現地へ向かう決意をする。
リリアは馬を駆って辺境の村に到着した。村は既に炎に包まれ、逃げ惑う人々の悲鳴が響いている。彼女は馬から飛び降りると、まず負傷者の救出を指揮した。「こっちだ!
安全な場所へ!」と叫びながら、倒れた老人を背負い、避難所へと運ぶ。村人たちはリリアの姿を見て、一瞬希望の光を宿したが、その目はすぐに恐怖に染まった。遠くから地響きが聞こえ、黒い影が押し寄せてくる。魔物の群れだ。リリアは歯を食いしばり、手をかざした。かすかに光る魔力が指先に集まるが、かつてのような力はない。それでも彼女は諦めなかった。古代魔法の知識を総動員し、地面に簡易の結界を描き始めた。しかし、魔物の数は予想をはるかに超えていた。結界が完成する前に、先頭の魔物が村人に襲いかかる。リリアは間に飛び込み、身体を張って魔物の爪を受け止めた。鋭い痛みが走るが、彼女は怯まない。「私が守る!」と叫び、残った魔力を振り絞って光の矢を放つ。魔物は怯み、後退した。だが、次々と現れる魔物に、リリアの体力は限界に近づいていた。彼女の額には汗が滲み、視界が揺らぐ。それでも彼女は結界の構築を続けた。村人たちはリリアの背中を見つめ、必死に祈るように作業を手伝った。ようやく結界が完成し、魔物の侵入を防いだ瞬間、リリアは膝をついた。魔力を消耗しきっていた。村人たちが駆け寄り、彼女を支える。リリアは息を切らしながらも、安堵の笑みを浮かべた。だが、その目はまだ警戒を怠らない。結界の外では、魔物がまだうごめいている。
結界の中、リリアは疲労で動けずにいた。村人たちは感謝の言葉をかけるが、彼女の心は別のことで占められていた。ユリウスが戦場で戦っている間、自分はここで村を守っている。彼の存在の大きさを、改めて痛感する。彼がいてくれたら、こんなに苦労はしなかっただろう。いや、彼がいなくても、私はやるべきことをやる。リリアは拳を握りしめ、立ち上がった。彼女は村の長を呼び、今後の対策を話し合った。「結界は一時しのぎです。魔物の群れが去るまで、ここで耐えましょう」と提案する。村人たちはリリアの冷静な判断に従った。その夜、リリアは結界の維持に努めながら、古代魔法の研究を続けた。彼女はユリウスから学んだ戦術を思い出し、防衛線を強化する方法を模索した。彼の教えが、今ここで役立っている。リリアはその事実に、複雑な感情を抱いた。彼は敵として現れたが、今は最も信頼できる味方だ。彼のいない戦場で、自分が彼の代わりを務めている。それが誇りでもあり、寂しさでもあった。彼女は指輪を撫でながら、ユリウスの無事を祈った。そして、この戦いが終わったら、必ず彼の力になると誓った。
結界の維持中、リリアは遠くの丘の上に、公爵に似た人影が倒れているのを発見する。
結界の維持中、リリアは遠くの丘の上に、公爵に似た人影が倒れているのを発見する。






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