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📖 捨てられた聖女は冷徹公爵の契約婚約者となり、偽りの恋で王国を救う

追放と契約・運命の転機

929 words

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公爵の言葉が、まだ耳の奥に残っている。「辺境に戻ったら、正式に君に求婚したい」という、あの真摯な眼差し。リリアは馬車の中で、その言葉を何度も反芻していた。窓の外では、セシリアを乗せた護送馬車が先行している。拘束され、魔力を封じられた元友人は、今はただの囚人だ。だが、彼女の言葉はリリアの心に重くのしかかる。「王国の上層部には、私の協力者がいる」。その正体を突き止めなければ、真の平和は訪れない。リリアは手にした古代文献の写しを握りしめ、決意を新たにした。 アシュフォード公爵領の古城に到着すると、ユリウスはすぐにリリアを庭園へと誘った。春の陽ざしが降り注ぐ中、彼は彼女の前に片膝をついた。「リリア・クローフォード嬢。あなたを、私の妻として迎えたい。この先の人生を、共に歩んでほしい」と、彼は契約書ではなく、言葉でプロポーズをした。リリアは驚きと喜びで胸が震えた。彼の瞳は、いつもの冷徹さとは無縁の、熱い光を宿している。「はい、お受けします」と彼女が答えると、ユリウスは立ち上がり、彼女の手を優しく握った。その瞬間、彼の指にあった古い指輪が、リリアの指にすっと嵌められた。それは、アシュフォード家に代々伝わる婚約指輪だった。「これは、私の母から受け継いだものだ。あなたにこそ、ふさわしい」と彼は言った。リリアは指輪の温もりに、涙が滲むのを感じた。しかし、その幸せな時間は長くは続かなかった。庭園に、慌てた様子の騎士が駆け込んできたのだ。「公爵様! 至急の知らせが!」騎士は息を切らしながら、一通の書簡を差し出した。ユリウスが書簡を開くと、その表情が一瞬で曇った。「王国の東部で、魔物の大群が発生した。鎮圧のため、軍を率いて前線へ向かえという命令だ」と彼は言った。リリアはその言葉に、心臓が凍りつく思いがした。プロポーズの直後、彼は戦場へ行かねばならないのか。ユリウスはリリアの手を強く握りしめ、「すまない。だが、必ず戻ってくる。あなたを守るために」と約束した。リリアは彼の胸に顔を埋め、「どうか、無事でいてください」と祈るように言った。彼女は、この瞬間、自分がユリウスを深く愛していることを自覚した。契約婚約から始まった関係は、確かな絆へと変わっていた。 ユリウスは出立の準備を始めたが、その前にリリアを執務室へと連れて行った。机の上には、正式な婚姻契約書が広げられていた。「これは、先ほど作成したものだ。あなたが望むなら、正式な婚姻届も出せる」と彼は言った。リリアは契約書に目を通した。そこには、彼の領地の管理権や、彼女の身分の保証などが記されていた。しかし、彼女が最も心を動かされたのは、最後の一文だった。「私は、リリア・クローフォードを、我が妻として、生涯愛し続けることを誓う」。それは、契約ではなく、彼の真心だった。リリアは署名をし、ユリウスもそれに続いた。二人は正式な夫婦となったのだ。ユリウスはリリアの額にそっとキスを落とし、「愛している」と囁いた。リリアは頬を赤らめながら、「私もです」と返した。その後、ユリウスは軍の準備のため、執務室を離れた。リリアは一人、庭園に立っていた。指輪の感触が、まだ消えない。彼女は空を見上げ、彼の無事を祈った。そして、セシリアの言葉を思い出した。「王国の上層部には、私の協力者がいる」。この陰謀の裏には、もっと大きな力が動いているのかもしれない。リリアは、ユリウスを守るためにも、この陰謀を暴かねばならないと強く思った。彼女は古代魔法の研究を続け、いつか彼の力になることを誓った。 その夜、リリアは自室で文献を調べていた。すると、窓の外が不気味に光るのに気づいた。空には、赤い月が浮かんでいる。それは、古代の予言に記された「災厄の前兆」だった。 セシリアの陰謀で王国に魔物の脅威が迫る
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