📖 追放された鑑定士、最強の【廃品回収】スキルでダンジョン都市を再建する
ダンジョン攻略と陰謀・新たな計画
「中層でガルドの残党が何か探しているらしい」
情報屋の言葉に、リョウタとエリナは顔を見合わせた。廃教会支部の薄暗い部屋には、古びた机と地図が広げられ、ランプの火が揺らめいている。
「何を探しているんだ?」
リョウタが問いかけると、情報屋は声を潜めた。
「詳しくは分かりません。ですが、彼らは数日前から中層の遺跡を掘り返しているようです。何かの鍵か、封印に関わるものかもしれません」
エリナが地図に目を落とし、指でなぞった。
「中層の遺跡……ここは旧支配者が祀られていた場所です。もしかすると、ガルドはあの伝承を狙っているのかも」
「伝承?」
リョウタが問い返すと、エリナは少し躊躇してから口を開いた。
「旧支配者はダンジョンの深部に巨大な財宝を隠したと言われています。そして、その鍵はこの街のどこかに眠っていると」
鍵、という言葉にリョウタの心臓が跳ねた。エリナが持っているあの鍵が、もしかすると関係しているのかもしれない。だが、彼女が自ら話すまで詮索するのはやめておこう。
「まずは中層の状況を確かめる必要があるな。だが、俺たちだけでは心細い」
リョウタは腕を組み、考え込んだ。中層は魔物の強さが格段に上がる。信頼できる仲間が必要だ。
「そうですね。私も知り合いに当たってみますが、なかなか難しいかもしれません」
エリナが困ったように言う。リョウタは決意を固めた。
「ならば、俺が直接声をかけてみる。廃品回収で作った装備を報酬にすれば、興味を持つ者もいるだろう」
彼は机の上に置かれた生成済みの防具を見つめた。まだ数点しかないが、質は保証できる。
数日後、リョウタは冒険者ギルドの掲示板に仲間募集の張り紙を出した。だが、反応は芳しくない。ガルドの影響力がまだ強く、リョウタに関わることを恐れる者が多いのだ。
「やはり簡単にはいかないか」
リョウタがため息をつくと、背後から声がかかった。
「おい、お前がリョウタか?」
振り返ると、大柄な男が立っていた。顔に古い傷跡があり、鋭い目つきをしている。戦士だと一目で分かる風貌だ。
「俺はカイル。元A級冒険者だ。お前の張り紙を見た」
「A級? それほどの実力者がなぜ俺なんかに?」
リョウタが警戒しながら尋ねると、カイルは苦笑した。
「ガルドに追放されてな。今は行く当てもない。お前も同じだろう? 噂で聞いたぜ。廃品回収で装備を作り出せるってな」
リョウタは少し迷ったが、正直に話すことにした。
「ああ。だが、まだ不完全だ。MPの消耗が激しくてな」
「それでも、その装備を見せてくれ」
リョウタは生成した腕甲を取り出した。カイルは手に取り、じっくりと観察する。
「ほう……これはしっかりした作りだ。市場に出せばかなりの値がつくぞ」
「本当か?」
「ああ。だが、これだけじゃ中層は厳しい。他にも仲間が欲しいところだ」
カイルはそう言って、後ろを振り返った。そこには、ローブを纏った女性が立っていた。
「彼女はミラ。魔術師だ。俺の旧知でな」
ミラは一歩前に出て、リョウタを値踏みするように見つめた。
「あなたが例の鑑定士? 廃品回収で装備を作るって本当なの?」
「ああ、本当だ。見せるか?」
リョウタが別の防具を差し出すと、ミラはそれを受け取り、魔力を流して調べた。
「……悪くない品質ね。でも、本当にあなたが作ったの? 何かの間違いじゃない?」
疑いの目を向けるミラに、リョウタは苦笑した。
「信じてもらえないのは仕方ない。だが、実際に作ったんだ」
「ふん。実物を見せてもらわないと信用できないわね」
ミラはまだ懐疑的だ。カイルが間に入る。
「まあまあ、ミラ。彼が嘘をついているようには見えない。それに、俺たちも追放された身だ。協力し合うのが得策だろう」
「でも、彼がガルドのスパイかもしれないじゃない」
「その心配はない。彼はガルドに追放されたんだ。敵のはずだ」
カイルがリョウタの肩を叩いた。リョウタは感謝しつつも、ミラの疑念を晴らす必要があると感じた。
「実際に装備を作ってみよう。それで信用してくれるか?」
ミラは少し驚いたが、興味を示した。
「いいわ。見せてもらおう」
リョウタは廃材置き場から鉄くずを拾い、手のひらに集中した。魔力を流し込み、形を変えていく。だが、まだMPが完全に回復していないため、途中で歪みが生じた。
「くっ……」
「やっぱり無理なんじゃないの?」
ミラが冷たく言う。リョウタは歯を食いしばり、何とか完成させた。出来上がったのは、不完全なブレスレットだった。
「……これで精一杯だ」
ミラはそれを手に取り、まじまじと見つめた。
「……確かに、魔力の痕跡がある。あなたが作ったのね」
「ああ。まだ不完全だが、時間をかければもっと良くなる」
ミラは少し考え込んだ後、口元を緩めた。
「……分かった。協力してあげる。ただし、報酬はきっちりもらうわよ」
「ああ、約束する」
こうして、カイルとミラが仲間に加わった。リョウタはほっと一息ついたが、まだ課題は山積みだ。
その夜、廃教会支部で作戦会議が開かれた。テーブルには中層の地図が広げられ、カイルとミラも同席している。
「中層の遺跡はここだ。旧支配者の廟所があった場所だ」
エリナが地図上の一点を指さした。
「ガルドの残党がここを掘り返している。何かを探しているのは間違いない」
「だが、彼らが何を探しているのか、まだ分からない。もしかすると、俺たちが先に見つけるべきかもしれない」
リョウタが言うと、カイルが頷いた。
「だが、敵も多い。正面からぶつかるのは得策じゃないな」
「そうですね。まずは偵察が必要です」
エリナが提案し、リョウタも同意した。作戦の大枠が決まったところで、エリナがリョウタを呼び止めた。
「リョウタさん、少しお話があります」
二人は別室に移り、エリナは真剣な表情で切り出した。
「実は……旧支配者の遺産について、もう少し詳しいことを知っています」
「遺産?」
「はい。旧支配者は、ダンジョンの最深部に巨大な財宝を隠したと言われています。そして、その鍵はこの街のどこかに眠っていると」
リョウタは息を呑んだ。エリナが持っている鍵が、まさにそれかもしれない。
「もしかすると、中層の遺跡には、その鍵に関する手がかりがあるかもしれません」
エリナはそう言って、少し躊躇しながらも続けた。
「私が持っている鍵……それは、旧支配者の血を引く者にしか開けられないと言われています」
「旧支配者の血?」
「はい。実は、私の家系は旧支配者の末裔なんです」
リョウタは驚きを隠せなかった。エリナが没落貴族の令嬢であることは知っていたが、まさか旧支配者の血を引いていたとは。
「だから、私が鍵を持っているんです。でも、使い方が分からなくて」
エリナは鍵を取り出し、リョウタに見せた。古びた銀色の鍵で、複雑な装飾が施されている。
「この鍵が、中層の遺跡と関係しているかもしれません」
リョウタは鍵をじっと見つめ、考え込んだ。
「ならば、中層の遺跡を調べれば、鍵の使い方も分かるかもしれない」
「ええ。でも、ガルドの残党が先に動いています。早くしないと」
エリナの声には焦りが滲んでいた。リョウタは彼女の肩に手を置いた。
「大丈夫だ。俺たちが必ず見つける。エリナさんと一緒に」
エリナは少し顔を赤らめ、うつむいた。
「ありがとうございます」
その時、カイルが部屋に顔を出した。
「おい、そろそろ作戦の続きを決めようぜ」
「ああ、そうだな」
リョウタは気持ちを切り替え、会議に戻った。
作戦会議が終わり、各自が準備を始めた。リョウタは装備の最終調整をしながら、エリナの言葉を反芻していた。旧支配者の遺産、鍵、そしてエリナの血筋。すべてが繋がっているような気がする。
「中層の遺跡に、鍵の手がかりがあるかもしれない」
リョウタはそう呟き、地図を見つめた。
エリナがリョウタに、中層には旧支配者の遺産が隠されている可能性があると打ち明ける。






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