📖 追放された鑑定士、最強の【廃品回収】スキルでダンジョン都市を再建する
追放と再出発・新たな計画
エリナの言葉に、リョウタは一瞬戸惑いを覚えた。彼女は設計士と名乗ったが、なぜ自分に力が必要なのか。リョウタは疲労で重い体を起こし、彼女の顔を見つめた。
「あなたの力が必要です」
エリナは真剣な眼差しで繰り返した。彼女の手には、古びた設計図が握られている。リョウタはその設計図をちらりと見て、あることに気づいた。それは、かつて栄えたダンジョン都市の教会の設計図だった。
「これは……廃教会の?」
「ええ。この街の再建の第一歩として、あの教会を改修したいのです」
エリナは設計図を広げ、リョウタに説明を始めた。廃教会は街の中心にあり、かつては冒険者たちの拠点として賑わっていた。しかし、ダンジョンの異変により放棄され、今は廃墟と化している。
「あそこを再建できれば、街のシンボルを取り戻せる。そして、人々の希望になる」
エリナの言葉には力があった。リョウタは彼女の情熱に心を動かされつつも、自分の力が本当に役立つのか疑問だった。
「でも、俺のスキルは廃品を回収するだけの……地味な力ですよ」
「そんなことはありません。あなたのスキルは、廃品を価値あるものに変える力でしょう? それこそが、この廃墟だらけの街に必要なのです」
エリナは力強く言い切った。リョウタは彼女の言葉に、わずかな希望を見出した。
翌朝、リョウタはエリナと共に廃教会へ向かった。廃教会は街の中心部にあり、かつては荘厳な姿を誇っていたが、今は崩れかけ、蔦が絡まり、窓ガラスは割れ、屋根の一部は抜け落ちていた。
「ここが……廃教会か」
リョウタは内部に足を踏み入れた。床には瓦礫が散乱し、埃が舞っている。しかし、彼の【廃品回収】スキルは、それらの廃材に反応していた。
「まずは、使える廃材を選別しましょう」
エリナは設計図を広げ、改修に必要な材料をリストアップした。木材、石材、金属部品、そして魔導回路の部品。リョウタはそれらを探しながら、スキルを発動させた。
「【廃品回収】」
リョウタが手をかざすと、瓦礫の中から使えそうな木材が浮かび上がり、淡い光に包まれて、新品同様の建材に変わった。しかし、同時に強い疲労感が襲う。
「ぐっ……またか」
MPの消耗が激しい。昨日のランプ修復で体力を消耗していたこともあり、リョウタはすぐに息切れを感じた。
「大丈夫ですか?」
エリナが心配そうに声をかける。リョウタは無理に笑って応えた。
「大丈夫です。でも、連続使用は危険みたいだ」
「それなら、休みながらやりましょう」
エリナはそう言って、リョウタに水筒を差し出した。リョウタは水を一口飲み、再び作業を再開した。
しかし、問題は廃材の質だった。教会の瓦礫は古く、腐食が進んでいるものが多い。スキルで変換しても、強度が足りないものがほとんどだった。
「この木材は……もうダメだな」
リョウタはがっくりと肩を落とした。エリナも設計図を見つめ、難しい顔をしている。
「このままだと、計画が大幅に遅れてしまいます」
「何とかならないか……」
リョウタは周囲を見回した。すると、祭壇の裏に古びた鉄の塊があるのに気づいた。それは、かつて教会の鐘だったものかもしれない。
「あれは……使えるかも」
リョウタは鉄の塊に近づき、スキルを発動させた。しかし、その瞬間、激しい頭痛が走り、視界が揺らぐ。
「うっ……」
「リョウタさん!」
エリナが駆け寄る。リョウタは膝をつき、必死に耐えた。
「大丈夫……ちょっとMPを使いすぎただけだ」
「無理をしてはいけません。今日はここまでにしましょう」
エリナはそう言って、リョウタを支えようとした。しかし、リョウタは首を振った。
「いや、もう少しだけやらせてくれ。この鉄なら、きっといい素材になる」
リョウタは再びスキルを発動させた。今度は、集中力を高め、MPの消耗を抑えるように意識する。すると、鉄の塊はゆっくりと形を変え、強固な建築用の鉄骨へと変わっていった。
「成功だ……」
リョウタはほっと息をついた。しかし、その代償は大きく、彼はその場に倒れ込んでしまった。
リョウタが倒れた後、エリナは彼を教会の片隅に運び、介抱した。しばらくして、リョウタは意識を取り戻した。
「すみません……迷惑をかけました」
「いいえ、無理をさせてしまったのは私の方です。でも、あなたのおかげで、この鉄骨が手に入りました」
エリナは、リョウタが変換した鉄骨を指さした。それは、設計図に描かれていた梁の部分にぴったりと合うサイズだった。
「これなら、教会の骨組みを補強できます」
エリナの目は輝いていた。リョウタは自分の力が誰かの役に立ったことに、少し誇りを感じた。
「でも、まだまだ廃材が足りないですね」
「ええ。でも、あなたのスキルなら、もっと多くの廃材を有効活用できるはずです」
エリナはそう言って、リョウタに設計図を手渡した。
「この教会を再建するために、あなたの力を貸していただけませんか?」
リョウタは設計図を見つめた。そこには、かつての教会の姿が描かれていた。荘厳な塔、美しいステンドグラス、そして多くの人々が集う広場。
「……わかりました。俺にできることなら、協力します」
リョウタはそう答えた。彼は、この街を再建することが、両親のためにもなると思った。
「ありがとうございます。では、早速ですが、明日からまた作業を始めましょう」
エリナは微笑んだ。その笑顔は、リョウタにとって久しぶりの温かいものだった。
「ああ。でも、今日はもう帰ろう。俺も疲れたし、エリナさんも休んだほうがいい」
「そうですね。では、また明日」
二人は廃教会を後にした。リョウタは、エリナと共にこの街を再建するという新たな目標ができたことに、心が軽くなるのを感じた。
その夜、ギルドの一室で、ガルドは部下の報告を受けていた。
「リョウタという男が、エリナという女性と共に廃教会で何やら作業をしているようです」
ガルドは眉をひそめた。リョウタは追放したはずの男だ。なぜ、まだ街にいるのか。
「エリナ……あの没落貴族の娘か。何を企んでいる?」
ガルドは何かを考え込むように、窓の外を見つめた。
ガルドがリョウタの活動を察知し、部下に監視を命じる。






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