📖 追放された鑑定士、最強の【廃品回収】スキルでダンジョン都市を再建する
ダンジョン攻略と陰謀・代償
目を覚ますと、見慣れた天井があった。廃教会の一室だ。リョウタはゆっくりと体を起こし、自分の状態を確かめる。全身に倦怠感が残っているが、意識ははっきりしていた。
「気がつきましたか」
隣で看病していたエリナが、ほっとしたように微笑んだ。彼女の手には、湯気の立つハーブティーが握られている。
「エリナさん……すみません、また倒れてしまって」
リョウタは申し訳なさそうに頭を下げた。エリナは首を振り、ティーカップを差し出す。
「無理をなさらないでください。あなたはダンジョンコアを安定させ、ガルドの陰謀を暴いたんです。十分すぎるほどです」
リョウタはカップを受け取り、一口含んだ。温かい液体が体に染み渡る。
「それで、ガルドはどうなりましたか?」
「行方不明です。あの後、姿を消したとか。でも、街では噂になっています」
エリナは少し言いにくそうに続けた。
「ガルドが、ダンジョン最深部の封印を解こうとしているらしい、と」
リョウタは眉をひそめた。最深部の封印。それは、かつて両親が命を落とした事故の原因とも言われる場所だ。
リョウタはベッドから立ち上がり、壁に掛けてある地図を広げた。ダンジョンの中層と深層の境界線が赤いインクで記されている。
「最深部の封印……ガルドは何を狙っているんだ?」
「わかりません。ですが、もし彼が封印を解けば、ダンジョン全体が危険にさらされるかもしれません」
エリナは設計図の束を取り出し、机の上に並べた。中層の構造が詳細に描かれている。
「まずは中層の攻略を再開しましょう。MPの回復も兼ねて、無理のない範囲で進めます」
リョウタはうなずき、地図を指でなぞった。
「そうしよう。中層には強力なモンスターがいる。装備を整えないと」
彼は廃材置き場に向かい、使えそうな金属片や革を探し始めた。エリナも手伝い、必要な素材をリストアップする。
「この革は軽くて丈夫ですね。防具に使えそうです」
「ああ、でもMPの消費が心配だ。一度に大量に生成すると、また倒れてしまう」
リョウタは慎重に、小さな防具から生成を始めた。手のひらに魔力を集め、廃材を変質させていく。だが、数分もしないうちに、彼の額には汗がにじみ、息が荒くなった。
「くっ……まだ本調子じゃないか」
「リョウタさん、無理をしないでください!」
エリナが心配そうに声をかけるが、リョウタは手を止めなかった。彼は何とか胸当てを生成し終えると、その場にへたり込んだ。
「はあ……これで少しは戦える」
「あなたは本当に頑固ですね」
エリナは苦笑しながら、タオルを差し出した。リョウタはそれを受け取り、汗を拭った。
「それにしても、ガルドの残党が中層で動いているという情報が入っています」
「何だって?」
「情報屋が言うには、彼らが何かを探しているらしい。もしかすると、封印に関係しているかもしれません」
リョウタは胸当てを手に取り、その強度を確かめた。
「ならば、早急に中層へ向かう必要がある。だが、この装備だけでは不安だ」
彼は再び廃材を見渡し、今度は腕甲の生成に挑戦した。しかし、MPが尽きかけているのか、金属が歪んでしまう。
「だめだ……まだ制御ができない」
「今日はここまでにしましょう。明日、もう一度挑戦すればいいです」
エリナは優しくリョウタの腕を引いた。リョウタは悔しそうな表情を浮かべたが、彼女の言葉に従うことにした。
その夜、二人は廃教会の一室で夕食をとった。エリナが用意したシチューは、野菜の甘みがしっかりと出ていて、リョウタの疲れた体に染み渡った。
「エリナさんは料理も上手なんですね」
「昔、母に教わりました。貴族の令嬢として、料理は必須ですから」
エリナは少し寂しそうに微笑んだ。彼女の家が没落したことを思い出したのかもしれない。リョウタは何と言っていいかわからず、黙ってシチューを口に運んだ。
「リョウタさん」
エリナが真剣な表情で彼を見つめた。
「あなたがいてくれるから、私も頑張れます。この街を再建するという夢を、もう一度見ることができました」
「エリナさん……」
「ありがとうございます」
エリナは深々と頭を下げた。リョウタは照れくさそうに頭をかいた。
「こちらこそ、エリナさんの設計図がなければ、コアを安定させることはできませんでした。お互い様です」
二人は顔を見合わせ、自然と笑みがこぼれた。
翌朝、リョウタは早朝から廃材置き場に立っていた。昨日の失敗を踏まえ、今度は魔力の流れを意識しながら、ゆっくりと生成を行う。
「よし……今度こそ」
彼は手のひらに集中し、廃材を腕甲へと変えていく。金属が滑らかに形を変え、やがて見事な腕甲が完成した。
「できた!」
リョウタはそれを装着し、軽く腕を動かした。動きを妨げず、しっかりと防御してくれる。
「素晴らしいです、リョウタさん!」
エリナが拍手をしながら近づいてきた。
「これで中層の攻略も安心ですね」
「ああ、でもまだ完全じゃない。もう少し装備を整えたい」
リョウタは再び廃材に目を向けた。彼は今度こそ、完全な装備を揃えるつもりだ。
その時、情報屋が息を切らして駆け込んできた。
「大変だ!中層でガルドの残党が何か探しているらしい!」
情報屋が「中層でガルドの残党が何か探している」と伝える。






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