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📖 追放された聖女は隣国で公爵様と契約結婚して幸せになります

呪いの真実・心の境界線

1.2K words

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夕暮れの庭園は、オレンジ色の光に包まれていた。リリアーナは、スパイの尋問で得た情報を胸に、レオンハルトと向き合っていた。聖遺物が教会から移動された可能性が高い。セシリアは、彼女の故郷の教会に手を回し、罠を張り巡らせている。リリアーナは、このままでは埒が明かないと感じていた。彼女は決意を固め、レオンハルトの目をまっすぐに見つめた。 「レオンハルト様、私は一人で教会へ行きます」 彼は、眉をひそめた。 「何を言っている。危険すぎる。セシリアが何を企んでいるか分からないのだぞ」 「分かっています。しかし、このままでは聖遺物の行方は掴めません。私の故郷の教会なら、何か手がかりが残っているかもしれません」 リリアーナは、自分の意志を伝えた。しかし、レオンハルトは首を縦に振らなかった。 「お前を危険にさらすわけにはいかない。屋敷にいてくれ」 彼の言葉に、リリアーナは胸が締め付けられた。彼は、いつもこうだ。自分を守ろうとして、一歩引いてしまう。しかし、彼女はもう、守られるだけの存在ではいられなかった。 「あなたに守られてばかりではいられません」 リリアーナの言葉に、レオンハルトの表情が強張った。 「何を言う。お前は俺の妻だ。守るのは当然だ」 「ですが、私はただの妻ではありません。元聖女であり、あなたの呪いを解く力を持つ者です。自分の過去と向き合わなければ、前に進めないのです」 彼は、深く息を吐いた。 「分かっている。だが、セシリアはお前を陥れようとしている。罠にかかるのが目に見えている」 「それでも、行かなくてはなりません。私は、自分の力で決着をつけたいのです」 リリアーナは、一歩前に出た。しかし、レオンハルトは彼女の腕を掴んだ。 「駄目だ。絶対に一人で行かせるわけにはいかない」 「離してください!」 彼女は、振り払おうとしたが、彼の手は強く握られていた。 「俺が一緒に行く」 「いいえ、私一人で行きます。あなたがいれば、私はまた守られてしまう。それでは、何も変わりません」 リリアーナの声は、震えていた。彼は、その言葉に一瞬戸惑い、手を緩めた。 「お前は、俺のことを信頼していないのか?」 「信頼しています。でも、それとは別の問題です。私は、自分の足で立ちたいのです。あなたの隣に立つために」 彼は、しばらく沈黙した。庭園には、風の音だけが響いていた。 「……本当に行くのか?」 「はい」 リリアーナは、力強く頷いた。レオンハルトは、複雑な表情を浮かべたが、やがて静かに口を開いた。 「ならば、せめて護衛をつけろ。一人で行かせるわけにはいかない」 「護衛がいれば、一人で行くのと同じではありませんか」 「それは違う。護衛は、お前の安全を確保するためだ。お前の意志を尊重しないわけではない」 彼の言葉に、リリアーナは唇を噛んだ。彼は、まだ自分の考えを変えようとしない。 「私は、あなたに認めてほしいのです。一人の人間として、対等に向き合ってほしい」 「対等?」 「はい。私は、あなたの庇護下にあるだけの存在ではないのです」 リリアーナの目には、涙が浮かんでいた。彼は、その姿にハッとした。 「……すまない」 彼は、静かに謝罪した。 「お前の気持ちを考えずに、自分の考えを押し付けていた」 「レオンハルト様……」 「だが、それでも一人で行かせるのは心配だ。せめて、連絡手段を持って行ってくれ。何かあれば、すぐに知らせてほしい」 リリアーナは、彼の言葉に少し安堵した。彼は、完全に否定したわけではない。 「分かりました。連絡手段を持っていきます」 彼女は、そう答えた。しかし、彼の表情はまだ晴れなかった。 「本当に、一人で大丈夫なのか?」 「大丈夫です。私は、もう昔の私ではありません」 リリアーナは、微笑んだ。彼は、その笑顔に少しだけ口元を緩めた。 「……分かった。信じる」 彼は、そう言って、彼女の手を離した。リリアーナは、その手の温もりを感じながら、決意を新たにした。 レオンハルトは、リリアーナの目をまっすぐに見つめた。 「すまなかった。お前を一人の人間として尊重すべきだった」 その言葉に、リリアーナの胸は熱くなった。彼は、自分の過ちを認めてくれた。 「いいえ、私こそ、あなたの心配を無視してしまってごめんなさい」 「お前は、何も悪くない。俺が過保護だったのだ」 彼は、苦笑した。リリアーナも、つられて笑った。 「でも、あなたが心配してくれるのは、嬉しいです」 「当たり前だ。お前は、俺の妻だからな」 彼は、そう言って、優しく彼女の頭を撫でた。リリアーナは、その温かい手のひらに、安心感を覚えた。 「約束してくれ。必ず戻ってくること」 「はい。必ず戻ってきます」 彼女は、力強く頷いた。彼は、満足そうに微笑んだ。 「ならば、行け。だが、無理はするな」 「はい」 リリアーナは、彼に背を向け、歩き出した。しかし、数歩進んだところで、彼の声が聞こえた。 「リリアーナ」 彼女が振り返ると、彼は真剣な表情で言った。 「お前は、もう一人じゃない。何かあれば、必ず俺を頼れ」 その言葉に、リリアーナの心は温かくなった。彼は、自分のことを大切に思ってくれている。 「ありがとうございます」 彼女は、微笑みを返し、再び歩き出した。夕日が、彼女の背中を照らしていた。 リリアーナは、公爵邸を後にする準備を進めていた。彼女は、レオンハルトとの会話で得た信頼を胸に、一人で教会へ向かう決意を固めていた。しかし、その時、彼女の脳裏に、彼の言葉がよぎった。 「お前は、もう一人じゃない」 その言葉が、彼女の心に深く響いていた。 レオンハルトはリリアーナの言葉にハッとし、彼女を一人の人間として尊重することを誓う。
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