📖 追放された鑑定士、最強の【廃品回収】スキルでダンジョン都市を再建する
ダンジョン攻略と陰謀・公然の挑戦
エリナが封印に手をかざし、「私にしか開けられない」と呟いた直後、封印が光を放ち、隠し部屋の扉が開き始めた。
「開いた……!」
リョウタは息を呑んだ。エリナの血が扉に吸い込まれるように消え、重厚な石の扉が音を立てて動き出す。中からは冷たい風と、かすかな魔力の匂いが漂ってきた。
「本当に……開いたんだ」
エリナは自分の手を見つめ、震える声で言った。彼女の指先には、まだ血が滲んでいる。リョウタはすぐに彼女の手を取り、清潔な布で止血した。
「無理をしたな。でも、よくやった」
リョウタの言葉に、エリナはほっとしたように微笑んだ。カイルとミラも、緊張した面持ちで扉の先を覗き込む。
「中は……かなり広そうだ」
カイルが松明を掲げて照らすと、石造りの部屋が浮かび上がった。壁には古い文字が刻まれ、中央には台座があり、その上に一冊の本が置かれている。
「あれが……古代記録か」
リョウタは慎重に足を踏み入れた。部屋の中は静まり返り、時が止まったかのようだ。
「気をつけて。罠があるかもしれない」
エリナが警告する。リョウタは頷き、まずは周囲の安全を確認した。床の石畳には、かすかな傷跡がある。もしかすると、罠が仕掛けられているのかもしれない。
「俺が先に行く。お前たちは後ろで待っていてくれ」
リョウタはそう言って、慎重に歩を進めた。
リョウタが台座に近づいた瞬間、部屋の入口で物音がした。振り返ると、ガルドの手下たちが数人、武器を構えて立っている。
「よくもここまで来たな、追放者」
先頭の男が嘲るように言った。彼は黒いローブをまとい、手に奇妙な杖を持っている。
「ガルドの命令だ。お前たちにはここで死んでもらう」
リョウタは素早くカイルとミラに視線を送り、戦闘態勢を取った。エリナは台座のそばで身を固くする。
「エリナ、下がっていろ!」
リョウタは叫び、前に出た。カイルが剣を抜き、ミラが弓を構える。
「相手は四人か。数は向こうが上だが、やるしかない」
リョウタは【廃品回収】を発動させ、手近な瓦礫から即席の盾を生成した。だが、その瞬間、黒ローブの男が杖を掲げた。
「魔導封鎖!」
杖が光を放ち、リョウタのスキルが急に使えなくなった。
「なにっ!」
リョウタは驚き、手にあった盾が消え去った。男はニヤリと笑う。
「そのスキル、封じてやった。これでお前はただの役立たずだ」
カイルが斬りかかるが、男は杖で受け流し、反撃の魔法を放つ。カイルはかろうじて避けたが、体勢を崩した。
「くそっ!」
リョウタは歯を食いしばった。スキルが使えない今、自分は戦力にならない。だが、彼は諦めなかった。
「スキルが使えなくても、戦い方はある!」
リョウタは地面に落ちていた鉄パイプを拾い上げ、武器として構えた。男は嘲笑う。
「そんなもので何ができる?」
男が杖を振り、魔法弾を放つ。リョウタは身をかわし、鉄パイプで叩きつけようとするが、男は軽やかに避ける。
「遅い!」
男が再び魔法を放つ。リョウタは避けきれず、肩に被弾した。痛みが走る。
「リョウタさん!」
エリナが叫ぶ。リョウタは倒れそうになりながらも、何とか立ち上がった。
「まだだ……まだ終わらない」
彼は男の杖に目をやった。あの杖がスキル封鎖の要だ。何とかあれを破壊できれば……。
リョウタは周囲を見渡し、あるものに目を留めた。台座の近くに、古びた魔導具が落ちている。彼はそれを拾い上げ、男に向かって投げつけた。
「なにを!」
男が魔導具を避けると、それは壁に当たって砕けた。だが、その破片が男の杖に触れた瞬間、杖がかすかにひび割れた。
「効いている!」
リョウタはさらに破片を拾い、杖目がけて投げ続けた。男は防戦一方になる。
「この……!」
男が杖を掲げて魔法を放とうとした瞬間、リョウタは地面に落ちていた魔導具の残骸を【廃品回収】で変換しようとした。だが、スキルはまだ封じられたままだ。
「くそっ!」
リョウタは焦りながらも、別の方法を思いついた。彼は男の杖に目をやり、その構造を分析した。
「あの杖は、魔力を増幅するタイプだ。だが、過剰な魔力を流し込めば、暴走するかもしれない」
リョウタは手近な魔導具の破片を拾い、それを杖に投げつけた。破片が杖に刺さると、杖が激しく光り始めた。
「な、なんだ!」
男が驚き、杖を落とす。杖は地面に落ち、そのまま爆発した。衝撃で男たちは吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「ぐあっ!」
手下たちは倒れ、動けなくなった。リョウタは肩を押さえながらも、立ち上がった。
「ふう……何とかなったか」
カイルとミラも無事だった。エリナが駆け寄り、リョウタの肩を心配そうに覗き込む。
「大丈夫ですか?」
「ああ、かすり傷だ」
リョウタはそう言って、倒れている手下たちを見下ろした。彼らは気を失っている。
「ガルドは、ここまで知っているのか」
リョウタは呟いた。だが、今はそれどころではない。彼は台座に向かい、本を手に取った。
リョウタが本を開くと、そこには古代文字がびっしりと記されていた。エリナが近づき、その文字を読み始めた。
「これは……旧支配者の日記だ。彼は、このダンジョンの秘密を書き残している」
エリナはページをめくりながら、重要な部分を読み上げた。
「『我が都市は、ダンジョンの力によって支えられてきた。だが、その力はやがて衰え、都市は衰退の一途をたどる。我は最後の手段として、ダンジョン最深部に『都市の心臓』を安置した。それは都市の活力を取り戻す力を持つ』」
リョウタは息を呑んだ。
「都市の心臓……それがこのダンジョンの鍵なのか」
エリナは頷き、さらに読み進めた。
「『だが、心臓に到達するには、試練を乗り越えなければならない。試練は、ダンジョンそのものが作り出す。そして、心臓を守る者たちがいる』」
リョウタとエリナは顔を見合わせた。
「試練……このダンジョンは、ただの遺跡じゃなかったんだ」
リョウタはそう言って、本を閉じた。
「エリナ、これを読んで、君の考えが変わったか?」
エリナは首を振った。
「いいえ、むしろ決意が固まったわ。この都市を再建するためには、心臓を見つける必要がある。そして、それは私の使命でもある」
リョウタは微笑んだ。
「そうだな。俺も同じだ。ガルドに負けないためにも、心臓を手に入れよう」
二人は強い絆で結ばれた。カイルとミラも、その決意を感じ取り、頷いた。
「俺たちも協力するぜ」
カイルが言い、ミラも同意した。
「ありがとう。だが、まずはこの記録を安全な場所に持ち帰ろう。ガルドがまた邪魔してくるかもしれない」
リョウタは本を背負い、部屋を出ようとした。だが、その時、本が突然光を放ち、リョウタの手の中で開いた。
「なんだ?」
本のページが自動的にめくれ、ある一節が浮かび上がった。
「これは……ダンジョンの地図だ。最深部への道が記されている」
エリナが驚きの声を上げた。地図には、現在地から最深部までの経路が示されている。
「これで、心臓にたどり着けるかもしれない」
リョウタはそう言って、地図をしっかりと握りしめた。
リョウタたちは地図を手に、隠し部屋を後にした。だが、その背後で、倒れていた手下の一人がかすかに動き、通信魔導具を取り出した。
「ガルド様……報告します。奴らは『都市の心臓』の情報を手に入れました」
通信の向こうで、ガルドの低い声が響く。
「ふん……計画通りだ。だが、最深部に到達させるわけにはいかない。次の試練で、奴らを始末しろ」
手下は頷き、通信を切った。リョウタたちは、その陰謀を知らずに、次の階層へと足を踏み入れようとしていた。
古代記録から、ダンジョンが試練の場であり、最深部に『都市の心臓』があることが判明する。






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