集会の後、ユーリの提案にリリアは心臓を高鳴らせた。証拠を公表すれば、教会と全面対決になるかもしれない。しかし、ユーリがそばにいてくれるなら、乗り越えられる気がした。
「分かりました。お願いします」
リリアがそう言うと、ユーリは安心したように微笑んだ。
「よし、では明日の朝、診療所で詳しい話をしよう。今夜は休んでくれ」
リリアは頷き、自宅へと向かった。村人に受け入れられた喜びと、これから始まる戦いへの不安が入り混じる。
翌朝、リリアは早めに診療所を訪れた。ユーリは既に机に向かい、何やら書類を整理している。
「おはようございます、ユーリさん」
「ああ、リリア。よく来たな。こっちへ」
ユーリはリリアを奥の部屋へ案内した。そこには、古びた金庫が置かれていた。ユーリは慎重に金庫を開け、一通の手紙を取り出した。
「これが、冤罪を証明する証拠だ」
リリアは手紙を受け取り、震える手で開いた。そこには、クラウディアが教会の上層部に送った書簡があり、リリアを陥れる計画が記されていた。
「これがあれば……!」
「ああ。だが、これを公表するには、まだ準備が必要だ。教会の反応を探りつつ、安全な方法を考えないと」
ユーリは真剣な表情で言った。リリアは手紙を大切にしまい、ユーリを見つめた。
「ユーリさん、本当にありがとうございます」
「気にするな。俺も、真実を知りたいんだ」
二人はしばらく無言で見つめ合った。その時、診療所の外で物音がした。
「誰か来たのか?」
ユーリが窓の外を見ると、見知らぬ男が立っていた。
ユーリが窓の外を見た瞬間、男は素早く手を振りかざした。何かが飛んできて、ユーリの肩に突き刺さる。
「ぐっ……!」
ユーリはよろめき、床に倒れた。リリアは悲鳴を上げ、駆け寄った。
「ユーリさん!」
男は窓を破って侵入し、金庫に近づいた。リリアはユーリを守ろうと立ちはだかった。
「何者だ!」
男は無言でリリアを押しのけ、金庫の中の書類を奪おうとした。リリアは必死に抵抗したが、力で敵わず、床に叩きつけられた。
「くっ……」
男は書類を掴むと、素早く窓から逃げ去った。リリアは立ち上がり、ユーリのそばに駆け寄った。ユーリは肩から血を流し、意識が朦朧としている。
「ユーリさん、しっかりしてください!」
リリアはユーリの傷を見て、息を呑んだ。矢が深く刺さっており、出血がひどい。このままでは命に関わる。
「どうすれば……!」
リリアは必死に考えた。自分の回復魔法は不安定で、魔力封印が解けかけている。しかし、今使わなければユーリが死んでしまう。
「やるしかない……」
リリアはユーリの肩に手を当て、回復魔法を行使しようとした。しかし、魔力がうまく制御できず、光が乱れ始める。
「ああっ!」
リリアは痛みに耐えながら、魔力を注ぎ続けた。ユーリの傷が少しずつ塞がっていくが、リリアの体から力が抜けていく。
「もう少し……!」
リリアは必死に集中した。しかし、魔力が暴走し、周囲に衝撃波が走る。リリアは吹き飛ばされ、壁に激突した。
「がはっ!」
リリアは血を吐き、倒れた。ユーリの傷は塞がったが、リリアは魔力を使い果たし、意識を失いかけた。
「リリア……!」
ユーリがかすれた声で呼ぶ。リリアは薄れゆく意識の中で、ユーリの声を聞いた。
「よかった……助かった……」
リリアは微笑み、そのまま意識を失った。
リリアが目を覚ますと、そこは診療所のベッドだった。体はだるく、魔力が枯渇しているのを感じる。
「リリア、目が覚めたか」
ユーリの声が聞こえた。リリアが顔を向けると、ユーリが包帯を巻いた肩を押さえながら、ベッドのそばに立っていた。
「ユーリさん……大丈夫なんですか?」
「ああ、おかげでな。君が回復魔法を使ってくれたんだろう? ありがとう」
ユーリは優しく微笑んだ。リリアは安堵し、涙が溢れた。
「よかった……本当によかった……」
ユーリはリリアの手を握り、真剣な表情で言った。
「リリア、君は自分の命を懸けて俺を救ってくれた。その気持ちに応えたい」
リリアはユーリの手の温かさを感じ、心が満たされた。
「ユーリさんが無事なら、それでいいんです」
ユーリはリリアの頬に手を添え、ゆっくりと顔を近づけた。リリアは目を閉じ、唇が触れ合うのを感じた。
それは、とても優しいキスだった。
しばらくして、ユーリが離れると、リリアは顔を赤らめた。
「ユーリさん……」
「すまない、急だったな。でも、伝えたかったんだ。俺は君を大切に思っている」
リリアは嬉しさで胸がいっぱいになり、ユーリに抱きついた。
「私もです……ユーリさん」
二人はしばらく抱き合っていた。しかし、リリアはふと気づいた。
「そういえば、証拠の手紙は?」
ユーリは表情を曇らせた。
「奪われた。あの男は、教会の手先だろう」
リリアは絶望感に襲われた。せっかくの証拠が失われてしまった。
「どうすれば……」
ユーリはリリアの手を握り、力強く言った。
「大丈夫だ。実は、あの手紙の写しを別の場所に隠してある」
リリアは目を見開いた。
ユーリはリリアに、写しを隠した場所を教えようとした。しかし、その時、診療所の外で物音がした。
リリアは魔力を失った絶望の中、ユーリが隠していた証拠の写しがあることを知らされる。






💬 Reader Comments
Comments are coming soon. Join the discussion about 追放された聖女は辺境でスローライフを満喫する~最強の回復魔法で村を復興して、イケメン薬師に愛されちゃいました~!