ユーリの警告を無視して、リリアは村の子供の様子を見に行く。その途中、追跡者に襲われる。
夕暮れの村の広場。リリアは、ユーリの「診療所から出るな」という言葉を胸に留めつつも、熱を出した子供の安否が気になっていた。彼女は小さな薬草の包みを握りしめ、広場へと足を踏み出した。すると、物陰から黒い影が飛び出し、リリアの腕を掴んだ。
「おとなしくしろ。教会の命令だ」
男は低い声で脅し、リリアを無理やり連れ去ろうとする。リリアは必死に抵抗し、地面に爪を立てた。
「離して! 私はもう聖女じゃない!」
しかし、男は聞く耳を持たない。彼の手がリリアの肩に食い込み、痛みが走る。その時、リリアの体の奥で何かが弾ける感覚があった。彼女の手が淡い光を放ち、男の腕を弾き飛ばした。
「な、何だ!?」
男は驚き、後ずさりする。リリアも自分の体に起こったことに戸惑いながらも、その隙に逃げ出そうとした。しかし、その光景を村人たちが目撃していた。彼らは恐怖の表情を浮かべ、リリアを指さして叫んだ。
「魔女だ!」
「聖女の力が暴走してる!」
リリアは混乱し、その場に立ち尽くす。男は混乱に乗じて逃走し、リリアはその場に崩れ落ちた。彼女の意識は遠のき、世界が暗転した。
リリアが倒れた後、ユーリが駆けつけた。彼はリリアを抱き起こし、村人たちに向かって叫んだ。
「彼女は危険な存在じゃない! 今のは無意識の防衛反応だ!」
村人たちはユーリの言葉に戸惑いながらも、彼の真剣な眼差しに押され、次第に落ち着きを取り戻した。ユーリはリリアを診療所に運び込み、ベッドに寝かせた。彼女の額に手を当て、脈を確認する。
「リリア、しっかりしろ」
ユーリの声に、リリアはゆっくりと目を開けた。彼女の目はまだ虚ろで、自分が何をしたのか理解できていないようだった。
「ユーリさん……私、何か……」
「大丈夫だ。お前は何も悪くない」
ユーリは優しく髪を撫でながら、村人たちの反応について説明した。リリアは自分のせいで村に迷惑をかけたことを悔やみ、涙を浮かべた。
「ごめんなさい……私、また……」
「謝るな。お前は自分の身を守ったんだ。それに、村人たちもすぐに理解するさ」
ユーリはリリアの手を握り、安心させようとした。リリアはその温もりに少しだけ心が落ち着くのを感じた。
「でも、私のせいで……」
「お前のせいじゃない。あの男が悪いんだ。お前は何も間違っていない」
ユーリの言葉に、リリアは小さく頷いた。彼の存在が、彼女にとって大きな支えになっていた。
リリアはベッドに横たわり、自分の体に変化が起きていることに気づき始めていた。
リリアが目覚めると、自分の魔力が完全には戻っていないが、封印が解けかけていることに気づく。






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