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📖 追放された聖女、呪われた公爵と契約結婚して最幸のスローライフを手に入れる

契約結婚の始まり・選択の代価

1.4K words

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使者の名乗りに、リリアとアルフレッドは息を呑んだ。クラウディア枢機卿――教会の最高位の一人であり、リリアを追放した張本人。その名前が、まさか公爵領の襲撃に繋がるとは思わなかった。 「クラウディア枢機卿が、あなたを遣わしたのですか?」 リリアの問いに、使者は苦しそうに頷いた。 「……あの方は、聖女の力を独占しようとしている。そして、公爵領の呪いを利用して、国を掌握するつもりだ」 アルフレッドは腕を組み、鋭い目で使者を見つめた。 「証拠はあるのか?」 使者は、震える手で懐から一通の書簡を取り出した。 「これが、枢機卿から私への指示書です。魔物を放つように、と」 リリアは書簡を受け取り、目を通した。確かに、クラウディアの署名と、公爵領の地図が記されている。 「これで、証拠は揃いました。すぐに王都へ報告しましょう」 アルフレッドは頷いたが、その表情は晴れない。 「だが、魔物の群れがまだ近くに潜んでいる。領民を守るためには、先に対処しなければならない」 リリアは決意を固めて言った。 「私が浄化します。力は不安定ですが、やれるだけのことはやります」 アルフレッドは心配そうに彼女を見つめたが、その決意を尊重した。 「わかった。だが、無理はするな。私も共に行く」 二人は、避難所にいる領民たちに安全を確保させると、魔物の気配を追って森へと向かった。 森の奥へ進むと、異様な気配が濃くなっていく。リリアは聖女の力で魔物を感じ取り、その数に戦慄した。 「……十匹以上います。しかも、かなり強い」 アルフレッドは剣を抜き、リリアを守るように前に立った。 「数が多いな。だが、ここで退くわけにはいかない」 すると、茂みの影から巨大な魔物が現れた。黒い体に赤い目を光らせ、鋭い牙をむき出しにしている。リリアは手をかざし、浄化の光を放った。しかし、魔物は光をものともせず、突進してくる。 「くっ!」 リリアは間一髪で避けたが、力の消耗が激しい。彼女の体に疲労が走り、視界が揺らぐ。 「リリア!」 アルフレッドが魔物を斬りつけるが、次々と仲間が現れる。リリアは再び浄化を試みるが、力が安定しない。 「どうして……!」 彼女は歯を食いしばり、集中を試みる。しかし、魔物の咆哮が彼女の精神を揺さぶり、力が乱れる。 「リリア、下がっていろ!」 アルフレッドは魔物の群れに立ち向かうが、数に圧倒される。彼の腕の紋様が黒く光り、苦痛に顔を歪める。 「ぐっ……!」 リリアは彼の異変に気づき、叫んだ。 「公爵様、あなたまで無理をしないで!」 しかし、アルフレッドは構わず戦い続ける。魔物の爪が彼の肩をかすめ、血が飛び散る。 「公爵様!」 リリアは力を振り絞り、浄化の光を放った。しかし、魔物は怯むだけで倒れない。 「どうすれば……!」 その時、リリアの頭にクラウディアの嘲笑が響いた。 「無駄よ、リリア。あなたの力は、もう私のもの」 リリアははっとした。魔道具の影響で、力が封じられているのだ。 「そんな……!」 アルフレッドは魔物に囲まれ、追い詰められていく。リリアは彼を救うため、自分の生命力を削る覚悟を決めた。 「私は、あなたを守ると決めたのです!」 彼女は両手を掲げ、全身の力を解放した。光が爆発的に広がり、魔物たちが後退する。しかし、リリアの体は限界を超え、意識が遠のいていく。 「リリア!」 アルフレッドの叫びが聞こえるが、リリアはその場に崩れ落ちた。 リリアが目を覚ますと、見慣れた天蓋が見えた。公爵邸の寝室だ。体は重く、力が入らない。 「……ここは」 「目が覚めたか」 アルフレッドの声が聞こえ、リリアはそちらを見た。彼はベッドのそばに座り、疲れた顔で微笑んでいた。 「公爵様……! あなたの腕は!」 リリアは彼の腕に巻かれた包帯に気づき、慌てて起き上がろうとした。しかし、体が言うことを聞かず、ベッドに沈む。 「無理をするな。私は大丈夫だ」 アルフレッドはそう言ったが、その顔は青ざめていた。リリアは彼の苦しそうな様子を見て、胸が締め付けられた。 「私のために……あなたが血を?」 アルフレッドは黙って頷いた。 「君が倒れた時、魔物はまだ残っていた。君の力だけでは足りなかった。だから、私は自分の血を君に与えた。聖女の力が、私の血を媒介に回復することを知っていた」 リリアは涙が溢れそうになった。彼は自分の身を犠牲にしてまで、彼女を救おうとしたのだ。 「そんな……あなたの体は、呪いで蝕まれているのに」 アルフレッドは弱々しく笑った。 「君を失うよりはましだ」 リリアは彼の手を握り、強く握り返した。 「ありがとうございます。私は、あなたを絶対に守ります。だから、もう無理はしないでください」 アルフレッドはリリアの手を握り返し、優しい目で彼女を見つめた。 「ああ、約束する。だが、君も無理はするな」 二人の間には、言葉にできない絆が生まれていた。リリアは彼の犠牲を知り、彼への想いを強くした。 「公爵様、私はあなたと共に歩みたい。この呪いを解くために、力を貸してください」 アルフレッドは深く頷いた。 「ああ、共に」 その時、リリアはアルフレッドの腕の紋様が、以前よりも濃くなっていることに気づいた。彼の犠牲が、呪いを進行させているのだ。 「公爵様、あなたの体は……」 アルフレッドは首を振った。 「気にするな。君が回復したなら、それで十分だ」 リリアは胸が痛んだが、彼の決意を尊重した。 「では、必ず呪いを解きましょう。そのために、私の力を使います」 アルフレッドは微笑み、リリアの手を握った。 「ああ、信じている」 二人は顔を見合わせ、強い決意を新たにした。 その時、突然、部屋に冷たい風が吹き抜けた。窓が開き、カーテンが揺れる。リリアは異変を感じ、身を固くした。 「何かが……来る」 アルフレッドも警戒し、剣に手を伸ばした。しかし、次の瞬間、部屋に響く声が聞こえた。 「お目覚めかしら、リリア」 その声に、リリアは凍りついた。 リリアが目を覚ました時、クラウディアの嘲笑が響き、彼女が魔物を放ったことを示唆する。
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